会派日誌

2013/3/6 水曜日平成25年3月6日 今井正子 教育委員人事に対する討論

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文科省よりの教育委員長含みの人事案件に対する反対討論 

 

第64号教育委員会委員の選任について反対の討論を行います。

 かつて、この議会では沢山の人事案の否決がありました。同じ方が2度否決されたり、また同一人物、我が隣りの町長さんでしたが、「公安委員には適さない」との否決でしたので、別の委員で知事提案されましたが、そこでも否決され、人権問題にならないかと憤ったこともありました。それでは、反対されている側の方をと提案されましたが、その仲間内の方さえ否決されました。

 先例80がありますが、すべての人事がOKなら議会の承認・役目は必要なくなるからです。昨日議会運営委員会で、大変な時期で大切な教育委員ですので、現桜井教育委員長承認時と同様、委員会付託をお願いいたしましたが、今回は前回委員会付託を望んだ方々が「委員会付託省略、即決」でした。

 議員になって10年、人事案の反対は初めてです。

 知事が選ばれるのですから、見識も高く文科省内でも実力が際立っており、人柄も県職員や県議会に受け入れられる素晴らしい人物かと思います。しかし、どんなに不祥事が起きようが、県の保幼小中高・特別支援の現場にいた方がゼロという県はないと思います。「教育現場も知らない人達の素人集団は、教育委員会の形骸化にますます拍車をかけないか」と、酷な言い方をする人もいました。「すべて外からの人に任せて、長野県は植民地になったのか」などと酷いことを言う人もいました。特に一番の教育的発想が求められる教育長候補であります。痩せても枯れても教育長野。人材のいない訳はありません。知事や議会すべての人にとって適切な人はいないと思いますが、「なんとかしたい、改革したい」と思っている人々は沢山います。知事に評価されない教育現場の人々はどんなに希望をなくすことか。また県民の見方も「やはり先生達はだめだ」ということになり、他県からも長野県教員に対する目が厳しく注ぎ、信州教育の信頼を失墜し、その指導を受ける子ども達はどんな思いがするだろうか。

 反骨精神の強い長野県人の気質として、特に教育現場では、信頼と「管理」マネジメントという言葉は裏腹に捕らえられる場合もある。外部からの多くのアンケートや事務的処理に追い回されるより、自分達で決め自分達で実行して子ども達を中心に捉え学校をまわしていきたいと思っている人が多い。信州の風土の中で育って昔のような信州教育に戻りたいと思っている人も多い。

 長野県としての地域教育の特色、不登校も多い、特別支援児も多い、女性管理職が非常に少ないという問題点をどう支援・改革していくのか。文科省から出向して長野県の学校教育現場を見て、特別支援教育における高校・高等部での支援――つまり教員やお金がいかに少ないか――を知り、翌年からより良い制度ができるかもしれない。期待できるかもしれない。しかし逆に国の決めた文科省の教育を、話し合うこともできず反対することもできず率先して行い、実験的な県にならないかと懸念する人もいます。

その時の政府が大きく教育を変えることは、子ども達――つまり現場の混乱が起きる。もの言わぬ子ども達に学校の統廃合や土曜日を休みにして「ゆとり教育」といったり、また学力向上をと復活させたり、行政や政治的力で行ってはならない。いじめ対策として道徳の教科化を掲げたり、数値や結果を即求めたりする手法は、子どもや教育現場に不適切だ。行政的立場や発想は教育的立場や発想に合わない。当然、職務の目指すところが異なって当たり前である。教育委員会は、評論家ではなく事務局案をチェックする能力、また問題を抱えた時はアドバイスできる能力を持ち、共に信州教育をつくり上げていくには小中高・特別支援の分野で2ないし3人を、また広い信州のバランスもよくそして県外・他分野とのバランスが必要と思われる。

 現場ゼロ、国からの教育長含み人事には、残念ながら賛成できかねます。

平成25年3月6日 今井正子 一般質問

支援者の皆様と

 

今井正子 一般質問

1)移住・交流施策について 

長野県内で働きたい若者、子育て家族、農林業をしたい人、セカンドライフを満喫したい人等に向けて、昨年3月16日「長野県移住・交流推進戦略」が策定されました。また、先月、晴天率が高く災害が少なく、農産物の宝庫、地域医療の先進地を誇る「信州健康の里『佐久』」をモデルに、JR東日本と連携した「移住者・定住者増加プロジェクト」も立ち上がりました。福島はじめ、被災地からの移住・定住は最優先でありますが、昨年5月設置された東京移住・交流センター、そして名古屋・大阪の状況と課題、その成果について、観光部長に伺います。

2)危機管理体制について 

次に、防災時、燃料基地となり得るガソリンスタンド等、地下タンク支援について危機管理部長にお尋ねします。

1月末近く、蓼科白樺高原観光協会内の唯一のガソリンスタンド、JA撤退の際買い取った施設で、一部古いタンクがあるとわかり、多くの観光客も迎える地元蓼科区で問題となりました。ガソリンスタンドの問題は既に議論されていますが、このままでは、県内半数近くがなくなるのではないかと危惧します。事業者側には費用対効果の考えがあり、市町村と協力して行なう所も出てくるでしょう。

①  危機管理防災上の観点から県独自の支援する手立てはないのでしょうか。

②  災害時孤立等予想される地域にはハザードマップ等に燃料基地として指定し、支援すべきと思いますがいかがでしょうか。

③  地下タンク40年という期限の根拠はなんでしょうか。

 ④  危機管理上、環境保全上、健康上危険となる場合、さまざまな規制は必要と考えますが、地下タンク以外の施設には同様の規制があるのでしょうか。

 以上4点、お尋ねします。

続いて、コンクリート構造物の寿命について、設計・建設にかかわる専門家としての建設部長にお尋ねします。

「このコンクリート工法なら100年は大丈夫」と、放射性物質を埋め立てる最終処分場もあり、トンネル・橋・道路等の劣化、地震時、噴火時の参考にさせていただきます。

)教育の信頼とマネジメントについて

 2月14日「大阪の小学5年生自殺」のニュースを知りました。「1つの小さな命と引き換えに小学校の統廃合を中止してください。」とのメモに、議員として、学校に勤務していた者としていたたまれないのもがありました。

岐阜県に越県合併していく時の御坂小学校の記事を思い出しました。木をふんだんに使った校舎を閉校し、コンクリート造りのプールもなく校庭も狭い小さな校舎に移る小2の子どもたちが、担任の先生の着物の袖に「新しい学校に行きたくない」と泣いてすがる。「今の学校には中庭もあり、チャボがいてフキノトウもある。靴箱も多いし、こっちに来てほしかった。」という子。「最後まで、この学校を守れなくてごめんなさい。」と、頭を下げる校長先生。

大阪でも校長先生は会見で、「こんなに深く悩んでいたことをつかめず申し訳ない。」と謝罪されたとの事。

一人の高校生の自殺により、入試を中止したり教員を総入れ替えを図ろうとする大阪ですので、約230人の小学生の閉校を中止し、生徒が4~5倍の大きな2校に分かれることもなくなるのではと期待しましたが、駄目でした。生命をかけることも美化するつもりはありませんが、どちらも大切な生命を守ることができず、無念でありました。

 教育の子どもたちに対する信頼と行政マネジメントについて、知事に伺います。前任の村井氏もその前の田中氏も、高等学校まで信州教育で育った方でしたが、しがらみのない阿部知事は県外から「信州教育」をどのように捕らえていたのでしょうか。また、現在知事として信州のこどもがどのように育ってほしいのか、理想を示していただきたいと思います。その為に知事のお考えになる教育でのマネジメントとは何か。また、これまで2年半現場の声をどのように捉え、何を変えてきたのでしょうか、お伺い致します。

 知事は就任後、2人の教育委員を教育関係者以外から選ばれました。10年前までは、県内4地域に教育関係者が選任され直接相談させてもらうことも多く、それ以外に行政や他分野の方もおられ6人構成でした。田中氏の時代に自殺された子どものお父さんをという選任がありましたが、否決が続きました。以後、どんどん教育関係者は減っていきました。この10年、不登校も特別支援をする子も、長野県はトップクラスに位置し、教員の勤務は月平均80時間から90時間と超過し、「忙しい、忙しい」と考える力を失い、まさに「真空地帯」状態となり、上からの指示に従って動く管理職や先生方も増えました。平成18年頃からメンタルな休職者も増え、横ばいと思いますが、それぞれの率が異なります。

現場の人間がいなくなり、外部の第3者のみが構成する教育委員会の結果、とうとう今年度のような不祥事まで起きたと申すつもりはなく、他で揶揄されるように委員会の存在是非・質を問うつもりもありませんが、知事は現場の中からの改革は難しいと考え、とうとう関係者ゼロとされる人事案を出されました。

反骨精神の旺盛な長野県人としては、知事・副知事と国から迎えるので、せめて教育はとの声も強い。伊藤氏自体は知事がお選びになるのですから知見も高く、お人柄もよく、仕事もできると思います。

どのようなマネジメント能力を持つのか、地方勤務、岩手・広島にはどの程度の期間どのようなことをされたのか、どのことに対し評価され、長野県の教育を任せようと考えられたのか、伺います。

 また、他県から「教育県長野」と賞賛された理由に、「教育費が県予算の3割を超えている県。教育を大きく重視する県」と言われたが、現在は2割程度であります。いつから教育第一から変えたのか。また、この現状をどう思っておられるのか、伺います。神奈川県では3割です。

 「30人規模学級」――つまり先進県や佐久長聖などの私立中学――のように本当の30人学級ではなく、「35人学級」が来年度で中3まで実施される運びとなりました。田中知事時代、多くの反対の中を小1より始め、村井知事そして阿部知事と繋いでくださいました。文科省の24年度実施状況表ではもうすでに11県が完全実施されています。来年度は福井・静岡と共に長野が入れば14件となります。また、11県中半数の山形、鳥取、岡山、山口、愛媛などは今までの事業から教員を削り融通しあう選択制をとらず、完全に県費での補償です。特に中1ギャップと言われる中学生にはほとんどの県が小規模学級となり、国の施策の小2にのみ実施するのは神奈川、大阪、奈良、福岡、熊本、鹿児島の6府県のみでした。

 さて、教育長に伺います。我が県では中学生に導入する際、3年間で実施した場合17億円増額と試算がありましたが、実際の状況を見るとかなり低いようですがなぜでしょうか?

 我が県は完全県費ではなく選択制で行っていますので現場の正規職員の負担が増えているとの声もありますが、現状はいかがでしょうか。

 教育長におかれましては、財政のパイが増えない中、生活補償もできない位の人も含め、多くの臨時的任用教職員でカバーし、ご苦労されたそのマネジメント力に深く感謝します。

 教育への信頼やあり方に対する意見について質問を続けます。

①    まず、県短期大学付属幼稚園の廃止の方針は短期大学内でどう議論され決定となったのか。来入児入学説明会に突然来年度の園児募集中止が発表され、驚いたお母さん方が継続を求め県議会にも見えられましたが、260にも及ぶ署名が、60を越す請願に名を連ねる方もあったとのことですが、提出しないことになったとの事。署名された方々の思いもありますが、まだ方針・法人化という決定のない中ですので、短期大学内での議論がどのようになされたのか、総務部長にお伺いします。

②    次に採用について、県立歴史館の学芸員等については、学芸員採用はなく、他の部署や学校への異動もあるため、そこでのノウハウの蓄積がありません。学芸員としての採用を設けるべきと考えますが、いかがでしょうか。

③  あり方検討会議でも保護者や地域の意見を聞くよう意見がありましたが、講師経験者についてはその経験を数値的にし、教員採用試験の1次試験に反映することはできないでしょうか。また、専門試験については、新卒者と講師経験者で問題等を分けたらどうか、教育長に伺います。

④    教員初任者で希望する者については、新潟県のように、自宅等住み慣れている地域から通勤可能なところとしてストレス要因を減らし、教師としての自信をつけることに専念させるべきと思いますが、いかがお考えでしょうか。

⑤    就任から半年、あり方検討会議や情報公開の問題などいろいろあったが、教育委員会の役割や信頼回復、教育のマネジメントについて、教育委員長に所見と覚悟を伺います。

4)特別支援教育について 

①    中学生の特別支援学級の生徒の進路選択肢が少ない現状があります。以前75学級のように公立の単独高等部学校を考えましたが、インクルーシズ教育の中で、高等部分教室の枠を広げ、分校化または高校内支援学級や通級学級を増やしていくべきと考えますが、いかがでしょうか。

②    稲荷山養護学校更級分教室では、高校に設置される分教室には保健室がなく、ケガ等あった場合には、親に連絡し近くの病院に連れて行ってもらうしかありません。高校の保健室を利用できるようにすべきと考えますが、いかがでしょうか。

③    高等部卒業後の就労支援はどのように行っているのか。また、作業学習の内容を多様化し、就職に役立つようにすべきではないでしょうか。

④    増えつつある発達障害児に対する高校教育について、8高校に4人の支援員がついておりましたが、継続し特色ある学校づくりをしていただきたいと考えますが、いかがでしょうか。

以上、山口教育長にお伺い致します。

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