24日に登壇した、今井議員の一般質問を全文載せました。教師の経験のある議員の子どもたちに対する「細やかな思い」があふれた質問でした。また、経済優先の、交通手段の破壊に、疑問を投げかけ続けた今井議員でした。
今井正子 2月定例会一般質問 平成23年2月24日
常に県民目線、現場主義のトライアル信州今井正子でございます。
1. 35人以下学級の中学校導入と教育県長野の復活に向けて
昨年8月27日、国は重い腰をあげて「新・公立小中学校の教職員定数改善計画案」を出されました。(副題に「30年ぶりの40人学級の見直し・10年ぶりの教職員定数改善計画の策定に向けて~文部科学省」とあり、「強い人材」の実現は、成長の原動力としての未来への投資。世界最高水準の教育力を目指し、新学習指導要領の円滑な実施や教員が子どもと向き合う時間の確保による質の高い教育の実施が急務。この為、30年ぶりに40人学級を見直し、35人・30人学級の実施など10年ぶりの新たな教職員定数改善計画を策定」とうたわれたのです!
OECD調査では世界の平均が小学校(初等教育)21.4人、中学校(前期中等教育)23.4人となっており、日本の40人学級は世界でも最下位に位置していました。(子どもの権利からいっても忠告を受けるまでになっていましたので、ようやくと喜んだものでした。)
23年度、小1・2年生、24年度から小3、25年度小4、そして26年度から小5、中、そして6年目には中3まで「35人」とし、その2年後(29年度)には小学校1・2年は「30人」とする。8年かけてようやく国際水準に近づこうというものでした。日本中の現場は期待で燃えました。
文科省の同資料によりますと、保護者の半数が小中学校の望ましい学級規模は「26~30人」だとあり、「各県の取り組みと効果等」が資料に載せられておりました。
秋田県は国が学級編制の弾力化を開始した平成13年度に少人数学級を導入し、現在小学校1・2年、中学校1年では「30人程度」学級を実施。全国学力・学習状況調査では4年連続で上位。山形県では平成14年度に導入し、現在、小学校全学年、中学校1・2年全部(3年は一部)で33人以下学級を実施。同様に学力調査では全国平均を上回り、「不登校の出現率・欠席率が低下」と書かれていました。
長野県では平成15年度に田中知事が強力に推進。市町長の中には反発も多く、翌16年から県単独予算を投入して、小学校1・2年、3・4年とすすめ、3年目(18年度)には5・6年を市町村との共同で、なんとか小学校を35人以下学級としました。
念のため、長野県でいう「30人規模学級」というのは、「30人」と思いがちですが、実は「35人」という意味です。県教委は全国並に30人を目ざし期待の命名をしていると思いますが、山形県の燦々(33)学級とか、秋田県の「30人」程度学級にはまだ遠いものがあります。
その後、(知事が変わり、市長らの希望どおり)5・6年生(の市町村の負担分)も県負担となって以来、中学校への見通しはたたず、全国41都道府県が実施する中、長野県はいまだ中学校40人のままでありました。
今回、国の方針や知事の考えもあり、中1が完全実施出来ることと期待しました。地元の教育長さん等からも「実施といったって選択性だから、今よりよくなるとは限らない。しかし、「定数」に手が入ったことはすごい進歩だから」と言われ、予算を振り返ると「中学校35人学級完全実施16億円」と言われていたのが、1億8,800万円余でしたので、不安もありました。
国の小学校1・2年の方針が1年生のみとなったり、加配されていた小学校の教員が突然12月末削減されたとも聞きます。ご苦労の中をやりくりしていることと思います。現状をお聞かせいただきたいと思います。そして、今後の見通しについても教育次長のご説明をお願いしたいと思います。
また、報道によりますと、教育委員長さんの地元茅野市でも「現状では対応しきれない」とありましたが、前市長さんでもあられる委員長さんのお耳には当然この混乱が入っておられたと思いますが、どのような対処をされたのでしょうか?また、月に1度の定例教育委員会ではどのような議論がなされましたか。また、緊急雇用対策の時のように臨時教育委員会でも開かれたのですか?教育委員長にお尋ねします。
(急遽、任意8県を調査したところ、山形33人、富山指定校35人を除く、秋田・群馬・三重・京都・鳥取・長崎では「30人」の導入が始まっています。小学校で強引に推し進めた「35人」もあれから8年、全国では「30人」の波が出てきています。)
現在長野県の教育委員さんは5名。学校現場を踏んだことがない方達であります。茅野市はどうかとご質問しましたが、お時間がないので委員会で質問します。
教育は、100年の計であり、人づくりであります。人づくりには人をもって行うことが原則です。(我々に習うフィンランドはじめ北欧から提唱され、韓国もとりいれることになった「野外保育」のように極端な話、教材は「外・自然のなか」であってもよいのです。)
自由な発想をもって一人ひとりの先生が少しでも多くの時間を子どもと接し,一生懸命教え、共に遊び、真剣に育んでいくと、すばらしい学校ができるのではないかと思います。(―教師はなんてすてきな仕事だろうと思いました。)
少人数学級の効果は文科省のみならず、昨日の委員長答弁にもありましたように、学力・不登校・生徒指導等にも効果が明らかであると認めておられます。中学校まで一気に取り戻すかどうかは、財源を持つ知事の強いリーダーシップにもかかっています。教育県長野の名をもう一度復活するよう、35人などといわず、一気に30人までもっていってほしい位です。
懸案であつた、中学への35人規模学級導入を決断した知事にその意欲をお尋ねします。また、毎回お尋ねしております学校週5日制の見直し、土曜日登校等はどうなっているのか、教育次長にお尋ねいたします。
国からのこまやかな補助を受けながら県独自で工夫し、日夜努力される教育長はじめ教育委員会のご努力もわかりますが、大ナタを振るうのは知事でありますので、県にお金がないからと気遣い、遠慮がちな県教委に、次代を担う子どもたちの為でありますのでたくさんの予算をもって、実行していただくことを切にお願い致して次の質問に移ります。
( 40年近く前、千葉県の私学女子高で初めて持った担任は53人でした。その後10年しないうちに公立小・中学校が50人・45人・40人となり、遅れて高校も40人学級となりました。それ以降30年間全く学級定数には手がつけられずじまいでした。
日本が、1番でなければ気がすまない日本人が、「経済世界一」に向かって邁進していた時期でした。「教育」つまり、子ども達のほうに目を向けなかった30年間の政治のつけ、大人のつけが今子ども達に現れています。)
2.児童福祉の向上について
タイガーマスクの名前で、児童養護施設に届いたランドセル。
全国各地に波及し、施設で暮らす子ども達が多くいること、また環境の大変さも論議されることとなりました。我が地元の軽井沢学園も2歳から18歳まで50人近い子どもたちが生活していますが、中高生が多くなり、(古く)狭い建物の中でトラブルも起きやすく、思春期の子ども達の人権を守ることも難しい状況です。
また、寝食を共にし、出来るだけ家庭的に一人ひとりと向き合うには職員の数を増やさなければと思います。県内の児童施設の状況をお尋ね致します。(倉島健康福祉部長)
最低基準の引き上げ等の引き上げを国へは要求すべきであると思いますが、改正されるまでは県単独での基準で運用を図ることができないのかどうか、続けて健康福祉部長にお尋ねします。また、一時期、福祉というと高齢者福祉を意味するかのように、福祉・介護・医療と、さまざまな施策が取られました。戦中・戦後を生き抜かれた皆様には十分な福祉をというのは当然でありますが、同時に生命を授かった子供たちにも十分な児童福祉が行われるべきだと思います。地域にゲートボール場ができたら、バスケットボードを一つ置き、子ども達の遊べる場所を等、(宅老所が出来たら宅幼所も高齢者がデイサービスを受けられるなら、子ども達も一緒にサービスが受けられるようにとの声があります。)知事は児童福祉についてどのように現状を捕らえ、また課題は何か、今後どのように取り組むおつもりなのか、養護施設の問題も含め、児童福祉全般に向けてのご所見・決意をお聞きしたいと思います。
3. 次に地域医療再生支援について伺います。
(昨年・一昨年と上田・下伊那地域に交付した支援金、)本年度分の交付金はどのように配分されるおつもりか。また、(県に配分するのではなく、)地域を限定し、集中して活用することが、その地域全体の医療の再生につながると思いますが、健康福祉部長のお考えをお尋ねいたします。
また、佐久広域連合では、佐久病院の高度医療センターを核とした医療機関の連携体制の構築について、4つの具体的施策を提案しております。
佐久総合病院の再構築を契機に地元医師会、公立病院間での医療連携、人材交流等に関する協議の機運が高まっており、スタート致します基幹医療センターの機能が盤石となると、三次医療が確保でき、佐久地域のみならず、東信地域全体、ひいては県全体の医療再生につながることになると思います。県としても国に強く提案していただきたいと思いますが、知事のご所見をお伺いいたします。
4.長野以北並行在来線としなの鉄道等について
北陸新幹線の伴い、長野から妙高高原までしなの鉄道が運営する方針が検討委員会から出されましたが、乗降客数の状況はどうか、また長野以北は(雪が多く経費もかかり、乗降客数もすくないため、)厳しい経営が見込まれるように思います。どうしても引き受けるなら篠ノ井・長野間も含め一体で運営すべきと考える県民は多いと思いますが、企画部長いかがでしょうか。
当初は軽井沢・長野間の経営分離だった話が、突然、軽井沢・篠ノ井間となったこと、そして県から103億円を支援することになったいきさつ。しなの鉄道は決して赤字にならないと太鼓判を押した(当時の総務部長が社長となってつくったしなの鉄道だった)が、ずっと赤字だった理由について、知事はどのように認識していらっしゃるでしょうか。また、簿価では買うべきではない。ほって置くと固定資産税で困ったのか、松井田町のように無償譲渡されるかもしれません。また、長野・北長野については大事な機能がたくさんあるところでございます。北長野も放されるのではないかと大変心配をしております。本来なら、篠ノ井・長野間を運行している黒字のJR東日本が引き続き以北も運行すべきと思いますが、佐賀県・長崎県のように強い姿勢でJRと交渉し、国に働きかけを行うべきではないでしょうか。条件闘争であるので、引継がなければ鉄路の固定資産税を払わなければ困ると思います。
鉄路は多額の税金をつぎ込んで造った、大切な公共の移動手段であります。長野電鉄「屋代線」について、協議会の投票では僅差で廃止が決定されたようですが、その決定までに住民はどの程度知っていたのか。その経過を含め知事のお考えをお聞きしたいと思います。
国は支援策として、貨物に対する補助を考えましたが、しなの鉄道には西上田と坂城の2駅であり、この3月で西上田はなくなるということを知事は知っていらっしゃいますか。今だに軽井沢は群馬側と分断されたまま。しかも小諸まで高崎保線区という流れもあり、小諸駅で待ち時間が多く、同じ駅で乗り換えることもあるのが現状です。知事は公共の移動手段の骨格ともいえる鉄路をどのように県内で存続させるべきと考えておられるのかを伺って一切の質問を終わりにしたいと思います。知事、ご答弁願います。
(再質問)
答弁漏れです。知事、西上田駅の貨物業務がこの3月でなくなることは知っておられましたか 。
小林議員の一般質問が、午後の休憩後に行われた。循環型社会に向けて県が一歩を踏み出した再生可能エネルギー普及に対して、国の選定を受けなくても「腰砕けになることなく、強力に推し進めていくように知事の真意を正し、また取り組んできた農業や特別支援教育について、自身の活動を総括するような鋭い質問となった。以下に、全文を載せました。
小林議員 2月定例会一般質問 平成23年2月25日
1. 環境政策について
私は今期、温室効果ガス削減目標と一向に対策が進まない現実との乖離解消のためには、エネルギーの自給率を高め循環型社会の形成により、社会構造を変えていく、その第一歩を踏み出すことが温暖化防止対策には必要で、それによって本県が環境先進県であることをアピールするべきと訴えてまいりました。しかし、2012年度までの温室効果ガス排出量の削減目標(1990年度比マイナス6%の)達成は、森林吸収源や景気後退によるエネルギー使用量の減、電力の排出係数低下により達成可能であるとし、そこにアグラをかき産業や家庭などの各部門における自主性を尊重した取り組みといえば聞こえはいいが、言うなれば手をこまねいて(放置して)きたというところが前県政下での実態と言えるでしょう。
先般実施された事業仕分けにおいても、仕分け人から「いままで減らせなかったのに放っておいて目標が達成できるのか。最新の2007年のデータによれば、2012年までにはCO2の排出量を300万トン程度減らさなければならず、説明された事業による削減とは桁違いではないか」との指摘があり、私も大いにうなずいたところです。
(県の事業シートにおいても温暖化防止に向けて県民意識の醸成はあるものの必ずしも多数の県民や事業者等が対策事業に参加するには至っておらず、より効果的な事業展開を図る必要ありとされており、)来年度温暖化対策の再構築を行うと知事は表明されております。私は事業と目的間のギャップ解消のためには再生可能エネルギー導入への転換を図ることがまず必要で、これによって家庭や業務部門での省エネ効果や温暖化防止対策に参加する気運のさらなる醸成も期待できると考えます。以下3点を環境部長に伺います。
1) 再構築の方向性をお示しください。
2) 事業仕分けにおいても、温暖化対策事業は地域社会の構造を変えていく事業であるとの指摘があり、自動販売機を減らす取り組みなどはすぐに検討を始められると考えますが、いかがですか。
3) 再構築は待ったなしの状況と考えますが、いつまでに新たな対策が示されるのですか。
総務省が去る2月15日に公表したバイオマスの利活用に関する政策評価によれば、バイオマス関連事業について効果が発現しているものは214事業中35事業(16.4%)にとどまり、これらについても施設の稼動が低調なものが多いなど期待される効果が発現しているものは皆無とのことであります。さらに、CO2収支を把握しているものは132施設中わずかに3施設(2.3%)とのことで、一口に再生可能エネルギーといっても、太陽光発電など効果が検証済みのものに比べ、技術的に未だ確立されていない分野もあります。
そのため、制度設計など専門的な知識を要し、行政が主導しなければならない余地が多分に残されているのですが、知事は議案説明で「排出削減のための新たな仕組みづくりや新エネルギー導入促進策など、より実効性の高い施策を展開できるよう、「温暖化対策課」を設置し、温暖化対策の再構築を進めます)と表明されておられます。温暖化対策課は温暖化対策係、新エネルギー推進係の2係に5割り増しの12名の職員を配置する体制とおききしておりますが、新課を設置する考え方と、再生可能エネルギー導入促進のための組織作りについて具体的な構想を知事に伺います。
2月12日付の報道によれば、県は内閣府が募集する「新しい公共支援事業」のモデル事業に応募、再生可能エネルギー普及に向けた県の構想が明らかにされたところですが、新聞報道にあった「仮に選定されない場合でも県は構想実現に向けた取り組みを検討する方針」の部分はフライングとのこと。
エネルギーだけでなく、人・モノ・カネが地域で循環する仕組みを全県に広げる構想であるだけに選定されることへの期待は大きいのですが、仮に選からもれたとしても、新聞の報道通り、県独自の取り組みとして前進させるべきと思いますが、知事の意欲を伺います。
8先ほどの自動販売機を減らすことと同様に、自家用車の使用を減らすための施策も温暖化対策に欠かせないと思われます。先の11月定例会において知事は様々に整備を進めてきたインフラの活用を視野に入れながら、公共交通を総合的に所管する交通部設置の検討についても言及をされておられますが、環境要素も加えて検討いただきますよう要望いたします。)
2. 農業・農村の将来像について
去る2月10日、「付加価値の高い農業の推進」をテーマに中野市で県政タウンミーティングが開催され、付加価値の高い農産物の生産により産業としての農業の足腰の強化や集落の機能維持について、地域住民と知事・農政部長との間で議論が交わされました。時間の制約もあり、知事の思いは十分に参加者に伝えられず、もどかしさを感じておられると拝察するところですが、そこでの議論のやり取りを通じて知事は、今後の農業・農村施策をどのように展開していくべきとお考えになられましたか。
また、「食と農業・農村振興計画」について、実際に農業に従事しておられる方々に認識されておらず、県政が遠い存在であることが浮き彫りになったのですが、この現実についてどう感じられたでしょうか。以上知事に伺います。
次に、経営規模の拡大などで生活のできる農業、産業としての農業を育成する一方で、地域を守っていくという観点からは、中山間地における規模は小さくても、多面的機能を維持し環境保全を担う農家への支援も欠かせません。両者のバランスを保ちつつ、農業・農村の振興を図るにはどのような施策展開が必要と考えられたのでしょうか、知事にお聞きします。
中山間地域において集落機能を維持しつつ引き続き農業を続けていくためには、一定程度のマンパワーの集積がなければ達成不可能と思われます。知事は人口が減っていく中でも豊かな社会を作っていくことは可能といわれていますが、具体的にどのような将来像をイメージされておられるのでしょうか。知事に伺います。
近年の農産物価格の下落傾向によって、農家の経営は困難の一途をたどっております。経営改善には付加価値の高い農業が必要といわれておりますが、長野県ほど多様な農業が展開されているところは他になく、所得確保のための6次産業化や農産物のブランド化推進の必要性は認めるものの、それが決定策になり得るとは思えません。りんご中心の営農からきのこ栽培に転換、需要期を迎えても一向に価格は上昇せず、設備投資が重くのしかかり、毎日が苦境の連続と訴える私の大先輩は、「かつて国は、稲作と果樹、畜産に全力を注いでいきさえすれば、我が国の農業は何の問題もないといい、農家はそれに従って営農に励んできたが、農産物の自由化が農業を一変させた。これをやれば経営が成り立つという基本方針を行政は示すべきだ」といいます。県民が望んでいるのは、明確な打開策なのですが、知事はこれをどのように形にされていくおつもりか、御所見を伺います。
3. 特別支援教育について
最後に特別支援教育について伺います。2008年6月定例会において、本県の特別支援学校の教員数は、標準法で定める定数よりも自立活動担当教員を中心に323名の不足が明らかにされました。県教委としても標準法からの乖離については解消に努めていかなければならない重い課題であると教育長も答弁され、計画的な改善に努力するとのことでありましたが、以下長澤教育次長に伺います。
1) どのような増員計画を定めたのですか。また、本年度までの進捗状況は。
2) 来年度予算では、どのような改善が図られるのでしょうか。
(再質問)
ただ今の答弁をお聞きすると、来年度は停滞どころか後退するとしか考えられません。予算の要求段階は何人の増員を考えていたのですか。教育長は重い課題であり、課題解決に向け努力しなければならないと再三発言されておられますが、実現しなければまったくの空文だったと言う他はなく、計画の前進に向けどのような努力をされたのか、計画停滞の原因は何だったのか、長澤教育次長にお聞きします。
先に実施された事業仕分けにおいて、特別支援学校高等部生徒向けの職業教育・進路指導事業については、達成度を高めるには緊急雇用創出基金による就労サポーター事業の終了後も何らかの対応が必要との意見のほかに、学校の本来業務の有効性を高めるべきとの意見が出されました。県も学校の本来業務と県業務の役割分担を整理するとしていますが、それならば不足している教員を計画通りに増員することが仕分け結果の反映ではないですか。仕分け結果の予算への反映という方針に反していると思うのですが、長澤教育次長に伺います。
(再質問)
私は、学校の本来業務についてお聞きしているのです。
教育長は私の質問に「特別支援学校制度により、個々の障がいに応じた個別指導への取り組みを行う自立活動や高等部の生徒の実態を踏まえ、職業教育などについて改善や見直しが求められているので、計画的な改善に努力する」と答弁されています。学校の本来業務の有効性を高めるためには乖離解消が不可欠のはずですが、再度長澤教育次長に伺います。
答弁をいただいてまいりましたが、いずれにせよ来年度当初予算案においては、乖離解消があまり進まない、むしろ本年度までと比べ、増員数が後退といえる状況に対して、せめて乖離が半数になるよう迅速な解消を望む声が保護者や学校現場から寄せられております。特別支援教育の充実は、県教育委員会の重点課題と言っておられる教育委員長に、改めて計画的改善について伺います。
最後に、村井前知事は「障がいというのは本当にさまざまであり非常に個性的。標準法に定める教員定数が個別具体のところで、その通りに適用されることよりも、学校現場での対応がどうなのかということが一番大事だと思っている」と私の質問に答弁をされました。この2年間で改善が進められてきたとはいえ、不足している教員数は特別支援学校一校当たり15名にものぼっており、学校現場で十分な対応ができていない状況が図らずも仕分けにおいて浮き彫りにされたと、私は考えております。義務、高校ともに通常の教育は法に従い、特別支援学校のみ法とかけ離れている。それも全国最低水準という状態は障がい者への差別といわれても仕方ありません。
(2007年度、決算認定議案の審査報告において「特別支援学校における専門的教員を採用・人事交流・研修により確保するよう努めること」との指摘に対し、県は「引き続き、自立活動担当教員の配置に努めています」としているのですから、)遅滞することなく乖離解消に取り組まれることを、県教育委員会と仮称障がい者差別禁止条例の制定を公約とされている知事に要望をいたしまして、私の質問を終わります。
本日一番目に、島田代表が質問に立ちました。以下に全文を載せます。
経営者として、幅広い見識を持つ島田代表の文言には,長野県のみならず全国の中小企業家、働く人々の「悲鳴」に近い心情がにじみでています。県政運営上、官僚出身の知事に、副知事に伝わるだろうか・・・。アイデア乞う!
島田議員 2月定例会 平成23年2月24日
1)知事の現状認識と政治姿勢について代表質問のつもりで伺います。
私は日本と日本人の「心と魂」は自然のいのちとつながる「和の心」だと思っています。
今人と人、人と自然、歴史、文化、地域社会そのいのちのつながりが切れ掛かっています。
小さな島国で限られた自然と調和し共生してきた日本の人間力、地域力、共生力は皆劣化しています。
人と自然の悲鳴が大きくなり社会が行き詰まっている今こそ、その原因を探り明確にして国民県民に知らせ問題を共感し共に日本再生に行動を起こす時だといえます。
日本は石油ショック以降、市場原理主義、グローバル化、大規模化、都会中心の情報化社会等の波に踊らされ大企業中心の金儲け一辺倒の方向へ走りすぎたのではないですか。地方と国民の暮らしを無視し、人と自然のいのちは粗末にし、低賃金国に物を作らせ、国内のものづくり産業社会と雇用基盤を破壊してしまいました。現状の大企業中心の姿は小泉構造改革等でアメリカからの市場原理主義、新自由主義金融経済に惑わされて日本中を大企業製品の配給型消費社会に変えました。大マスコミと結託して日本の生活文化、地域社会、人や自然の絆まで崩壊させてしまいました。
日本と日本人の「心と魂」やものづくりの精神を失い日本を忘れてしまったことが原因といえるのではないでしょうか。
行き詰まった原因に付いて知事はどの様に捉えておられますか。
金儲けのため平気でリストラし雇用と産業を空洞化させている大企業中心の景気回復のみが経済実態のように報道されています。現状の日本社会の有り様を知事はどう感じていますか。又県民生活第一の県政を行って欲しいと期待して、新しい県政づくりに取り組むべき知事の決意を伺います。
知事は昨年民主党の支援を受けて当選されました。今は国民の期待する民主党では無くなってしまいました。国民の生活が第一を柱に、徹底的な税金の無駄の削減、消費税は上げない約束、公務員改革、格差是正等国民との約束マニフェストを次々と捨てました。その上国民の生活負担を軽くする所か庶民いじめや増税会議さえ始めました。
税制改革、大増税と言うならその前に政治家の給料、定数の大幅削減、身内の公務員改革を断行し不公正を正し、無駄を省く事こそが先だと思います。庶民の味方阿部知事は現状の地方と国民不在の菅政権をどの様に捉えておられるのか御所見をお聞きします。
村井県政は借金を増やし、税収増を狙った放漫財政でした。阿部知事は167億円の県債発行額の抑制を断行し、平成23年度県債発行額を前年度当初予算額の範囲内とし将来負担を抑制しました。失われた4年を取り戻し再び、財政健全化への一歩を踏み出したと捉えてよろしいでしょうか。知事の健全化への決意と御所見をお聞きします。
また、個人所得の減少や企業収益の悪化により税収が落ち込む一方で、利払いや社会保障関連費用の増加。地方財政が一段と厳しさを増す中、地方公務員の給与水準の高さに対する批判は強く、多くの自治体が真っ先に人件費の削減を断行しました。
阿部知事は普通の県民と県知事、議員、特別職、一般県職公務員の平均給与所得、退職金、年金の格差の実態をどの様に把握しておられるのかお聞きします。税金を納めている県民とその税金を県民の為に使って働く為、税金で雇われている公務員の所得が大幅に格差があったのでは、県民の暮しの痛みや苦しみ喜び等共感出来る筈が有りません。収入が減り、支出が減らない財政危機の今、税金を使う立場にある人間が身を削り血を流してこそ、国民不在の政治不況時代の間違いに気づき、失われた20年を耐えてきた県民の痛みを共感できます。県民の為の本当の税金の使い方が出来るのではないでしょうか。事業仕分けをやる前に先ず自らの人件費の事業仕分けを断行すべきだと思いますが知事の身を削る覚悟の決意をお聞きします。
大半の一般県民は既に20年以上前から給与を削減し続け、退職金も県職員の1~2割が現実です。預金も使い果たしている人が3割もいます。
また、国民の生活負担を軽くする民主党の政権公約の実現は難しく、反面負担が増える政治状況では、知事や議員、特別職の大幅な人件費の削減や県職員の人件費の小幅な削減は避けて通れないと思います。当然人員の整理削減はすべきではありません。
また、人件費や給与削減分は新たな雇用や労働環境の改善を生み出す事にのみ使うべきです。
例えば荒廃している里山、自然環境の整備、活性化に長期計画で新規雇用の創出。
障害者等弱い立場の人達を支援する為の雇用の継続、厳しい労働環境にある、なり手の少ない医療、介護、福祉人材の育成確保や労働環境の改善です。こうした官民格差是正に知事の大英断をお聞きします。
「経済社会の全ての行き詰まりの諸悪の原因はアメリカかぶれの金融資本経済信奉者が仕掛けている円高とデフレ経済に寄る大不況と国内産業の疲弊と消費経済の国民所得の激減です。円安、インフレの日本経済になれば全てが解決します。公務員の給与削減等必要なくなります。」
不況は金が巡っていないからです。阿部知事の英断を期待します。
阿部知事は「教育、子育て先進県の実現」「産業力、地域力の強化」「暮しの安心確保」「県民主役の自立した県政の実現」の4つの施策の柱を重点的に示しました。「子供の権利条例」「中小企業振興条例」「障害者差別禁止条例」「市民活動支援条例」等を制定し県民と共に「共に支える確かな暮し」の実現に向う決意とお聞きしました。県民と共に実現に向いどの様に条例制定を進めてゆかれるのかお聞きします。
前村井県政は地球温暖化対策や地方分権推進には全く不熱心でしたが、阿部県政では地球環境問題、県民主権、地域主権問題等に対し地方分権推進室や温暖化対策課を設け直ぐにでも対応する積極的な姿勢は評価します。今後も新しい課題に県民と共に積極的に取り組んで頂きたいと考えますが知事のお考をお聞きします。
また、公務員改革に関連し、県職員の天下りについて知事にお伺いします。
○田中県政下の状況では県の関与は極めて少なく、平成16年、17年各年度1件のみで。
○村井県政下の状況下では、平成18年35件、19年47件、20年59件21年53件でした。
そこで、知事の決意の程をお聞きします。
この4月から、事実上の天下りにあたる県職員退職者の外郭団体への斡旋・紹介から手を引くべきではないのか。一部の報道に依ると、外郭団体である「長野県長寿社会開発センター」の常務理事に、4月から、部長職の県職員OBを派遣すると、人事課の幹部が発言した記事が載っておりましたが、知事はこの天下り人事を容認するのですか。今年の天下り見込みと併せて明確な回答をお願いします。
更に、県職員の天下りと関連し、県の外郭団体の見直しに付いて、知事に質問を致します。報道によりますと、「県営産業団地 含み損約52億円で 県が引き取り」とお聞きしましたが、
◎県は、どうせ多額の税金を使って穴埋めをするのならば、何故、この機を逃さず、「公社が持つ35億円余の準備金(内部留保)」の全額を充てて、一気に「県土地開発公社」を廃止しないのですか。
◎村井県政は、「外郭団体の見直しの検証」の結果、「県土地開発公社」を存続させる事を決定しましたが、今回の処置はその路線を転換し、再度「県土地開発公社」を廃止する方向に舵を切ったと考えていいですか。
◎田中県政下で当時、阿部副知事がキャップとして進めた「外郭団体の見直し」が、村井県政に為って、後退してしまった団体が幾つか有るが(ex:県土地開発公社、県道路公社、県農業開発公社、県農業会議等)、再見直しをする考えは有るのか。
◎「信州型事業仕分け」に於いて、これらの外郭団体の再見直しを徹底して行う必要が有ると 思いますが如何ですか。
◎ 外郭団体の再見直しを図る事で、これら外郭団体への県職員の天下りも無くなると思いますが、知事の明確な答弁をお聞かせ下さい。
長野県は、県民の7割以上が50人以下の事業所で働いています。県はその県民一人ひとりの雇用と所得を守る施策を推進すべきであります。大企業ばかりを応援する国の政治の間違いを変えさせるうえでも、長野県は個人消費を支える雇用の大半を保つ中小零細企業や大企業の下請けが多いものづくり事業にこそ、県政のきめ細かい予算を振り向けるべきだと思いますが、所見をお聞きします。また、平成23年度当初予算案において、今までの村井県政と異なる予算をどのように盛り込んだのか。景気悪化の原因とされる国内消費縮小の原因をどのように考えていますか。また、消費者となる日本人の雇用や所得を守らなければ、消費経済を誰が支えるのですか。大手メーカーの実態は、日本の産業と呼べる状態ではなくなりつつあるのではないですか。過去20年間、日本の産業をどうするか政府も財界も学者もマスコミも真剣に考えずに来ました。日本の産業も雇用も文化も守らない、輸出主導の大企業、大メーカーのこの経済システムを応援し続けていいのか。中小企業振興条例の制定を目指し、積極的に中小企業を応援する知事は、現状の中小企業を取り巻く県民経済の状況についてどのように捉えているか。また、どのように産業力、地域力を強化されるのか。
知事は、県民経済の7割近くを支える個人消費を担う県民一人ひとりの給与所得の実態をどのように見ていますか。中小零細企業、事業所の存在、経営について。また、大企業は平気でリストラをし、海外移転し、空洞化を生んでいます。苦しい環境に耐え続けながら雇用を守る中小零細事業所こそ、「環境と共生」、日本と日本人の心「和の心」を守る大切な財産ではないのか。現在までの政治、行政は応援するところを間違えていると思いますが。大企業中心から地域中小企業支援の内需型経済への転換は、待ったなしであり、県民と協働で地域資源循環型、自給社会産業の形成と育成が大切であると思いますが、雇用とあわせお聞きします。
情報化社会は、賃金の安い国でコンピュータとロボットによるものづくりができ、雇用と産業の空洞化をもたらした。世界のものづくり先進工業国の現状と先行きをどのように捉え、その対策をどのようにとるのか、以上知事にお聞きします。
2)上小医療圏地域医療再生計画について
本県の地域医療を取り巻く状況は、医師の不足、偏在が深刻化する中で、地域の病院では、診療科の廃止・休止が相次ぐなど、依然として厳しい状況に直面しています。
特に上小地域は、平成20年の調査によると、人口10万人当りの医師数が県平均の196.4人に対し、137.2人と県内医療圏で3番目に少なく、高度医療救急医療、周産期医療など医療過疎地域であると認識しています。
このような状況を踏まえ、県では、平成21年度に国の経済対策に基づき、上小医療圏及び上伊那医療圏において地域医療再生計画を策定し、平成21年度から平成25年度までの5か年計画で、地域医療再生に向けた地域の取り組みを支援してきております。
上小地域医療再生計画においては、計画の柱として、
① 地域の中核病院で本年4月から病院名が「信州上田医療センター」へと名称変更される「長野病院」での信州大学との連携による医師確保の取り組み。
② 上田市産院の新築・移転
③ 内科・小児科初期救急センターの建設
④ 地域の医療機関と診療情報の共有化を図るネットワーク構築
などが掲げられていますが、計画策定から2年が経過し、折り返しの時を迎えるにあたり、計画の進捗状況と今後の見通しについて健康福祉部長に伺います。
東北信地域の中核病院である佐久総合病院の機能強化は、東北信地域のみならず、長野県全体の医療環境にとっても必要であります。又、厚生連の長野県内の雇用者は、佐久総合病院に新しい高度医療センターが完成すると、9000人近い従業員が働く長野県下で最大の民間経営の職場となります。
地域社会の活力が劣化してゆく中で新しい雇用や安心な生活環境の向上は最も必要な要件です。
県はこうした県立病院が無い中で地域医療から高度医療まで中心となって担っている佐久病院に積極的に支援すべきだと思います。またこうした医療環境の充実を図り地域経済、社会の基盤となる事業に思い切った予算の配分をして長野県の新しい健康保険産業と地域医療の全県のモデルとし、雇用の確保、産業育成の模範として全国に発信すべきと思います。知事の英断ある御所見をお聞きします。
円高、デフレ不況の20年。大企業は200兆円以上の金を貯め、金は金を求め、海外へ。
反面、国民の所得は280兆円も減り続けました。
これでは、国内に金が回らず消費経済が崩壊するはずです。知事お願いします。
以上で終わりにします。
今期最後の定例会開会。阿部知事の議案説明、目玉の女性副知事の人事案等全部で54議案提出。各会派から総勢41人の一般質問者通告。トライアル信州は島田代表が24日(木)1番目、今井議員が8番目、小林議員は25日(金)3時過ぎ、永井議員は3月1日(火)最終に登壇。どんな質疑応答がくりひろげられるのか、傍聴にお出かけください。日程を以下に載せました。
< 2月定例会の会期予定>
2月 16日(水) 開会、知事提案説明
公共交通対策特別委員会 今井議員出席
2月 17日(木)~18日(金) 議案調査のため本会議なし
2月 21日(月) 議案調査のため本会議なし
2月 22日(火)~23日(水) 各派代表質問及び質疑
2月 24日(木)~25日(金) 一般質問及び質疑
2月 28日(月)~3月2日(水) 一般質問及び質疑
3月 3日(木)~4日(金) 各委員会
3月 7日(月)~9日(水) 各委員会
3月 10日(木) 議案整理のため本会議なし
3月 11日(月) 委員長報告・採択・閉会
会派議員一般質問日
2月 24日(木) 島田議員一般質問(15分)
今井議員一般質問(10分)
2月 25日(金)小林議員一般質問〔10分)
3月 1日(火) 永井議員一般質問〔10分)
16日からスタートする2月定例会に向けて、8日~10日の3日間にわたって平成23年度当初予算案等について各部局の説明を受けた。国も県も減収に悩まされている。税収に見合った運営と景気の底冷えがすざましいが雇用創出のためのアイデアはあるか。従来の認識から一歩も二歩も踏み越えた見方考え方が要求されます。2月定例会、選挙戦を控えている議員の皆さんの今期最後の英知を!
ある大学教授が、就活を始めてからどんどん輝きを失っていく若者の姿を嘆いていた。あんなに「オーラ」があったのにどうしたことかと。試験に落ちるのは「勉強不足・実力不足」と根拠が明確だが、就職で選考からもれ続けるとまったくの自信喪失。「大学を出れば就職するのが当たり前」から、不確かな時代に突入。切り抜けるアドバイスは何か。
自力で生活を確保することが難しい若者が続出する・・・対策もなく、自信をなくす若者が行き着く先を思いやる。
江戸時代が国内外でもてはやされて久しい。どんな小さな職業でも自信に満ち溢れ、子供たちは大切にされ,『矜持と誇り』を持った日本の原風景を、まるでおとぎ話のような恍惚としたまなざしで見つめられた時代ががかつてあった。どこで踏み外したのか、卑屈になる大人そして若者・・・そして、明るさをなくす子供たち・・・。