10月1日、10月4日にそれぞれ登壇したトライアル信州の皆さんの一般質問を全文載せました。阿部新知事に対する期待と、共に長野県をたくましい県に再生すべく力強い提言がなされた。また、本日は、議第4号と議第11号について今井議員、小林議員がそれぞて討論を行った。
今井議員 9月定例会一般質問 平成22年10月1日
皆様おはようございます。常に県民の目線で現場主義を貫く島田代表率いるトライアル信州です。本日は同じ志を抱く阿部新知事に、トライアル信州を代表して、今井正子が質問させていただきます。阿部知事が当選されたとき、「おかしいことをおかしいといっても通じる県政が帰ってきた。変わるよね、県政!」と、弾んだ声で県民の方から電話をいただきました。
「お帰りなさい、阿部守一さん!」
県民の皆様は知事として迎え、82,6%もの支持をしています。この期待に答えて、今までの県政の良いところを学び、県民の望まないものは勇気を持って遠慮せず、どんどん切っていってください。県議の命は6ヶ月ですけれども阿部知事は4年あります。(もう一ヶ月が過ぎてしまいました。)3年11ヶ月は長いようで短いと思います。県民主役の阿部カラーを出し、政策や人事を刷新しないとすぐ予算の時期になり、23年度の骨組みが決まってしまいます。「事業仕分け」もよいのですが、議場での大論議こそ県民の皆様の関心を県政に向けることになると思います。
それでは、質問に入らせていただきます。
1)長野県政に対する認識について、知事にお尋ねいたします。
知事を先頭に、「公務員は(職員)は公僕であり、県民にとって最高のサービスマンとなる。」という精神で進んでいた、かつての田中県政の改革をどう認識されておられるか。
田中県政の施策で、県民にとって良かった、または具体化できなかったもの、具体化したら計画時と異なってしまったような施策は何か。また、この6年間で後退してしまい、復活、再生しなければならないと思っているものは何か。知事にお伺いいたします。(知事)
2)財政再建について、お尋ねします。
10年前、債権団体に陥る寸前だった長野県を、知事はじめ議員、そして職員まで人件費を3年という条件付きでカットし、57の外郭団体を見直し、新しい大きな事業は、逆に国からの借金が増えるだけと我慢を重ね、県民の命と暮らしを守る事業のみとし、何とか借金を減らし、忍忍の6年間でした。ようやく財政健全化への道筋が見え、「これから事業ができるぞ」と思いきや政権交代。村井知事は大判振る舞いから始まり、そして本年の4年度(目)で通常債(という借金)は減ったかも知れませんが、裏にある臨時対策債は(臨時)財政対策債という借金は増えました。その中で、(他の議員も)お聞きしましたが、県債残高は増やさない方針ということを再確認させていただきたいと思います。
次に、借金は増やさず、もちろん税収も減っている訳ですから、今後どこからお金を持ってくるのかという問題になります。その中で、事業仕分けは国会議員の歳費からまずやれと言うような言葉もありましたが、事業仕分けをする前に、公務員と一般県民の給与や報酬差額の違いをどう認識し、時間外手当、部課長級管理職手当てや知事はじめ議員、各種行政委員会委員等の特別報酬をまず先に見直すように、との県民の声を知事はどのように受け止められますか。(知事)
20年度の引き下げと言いましても、実質上は知事1ヶ月33万7000円(副知事・議長・副議長15万6000円、議員4万2000円)等、アップし戻ったわけです。そういうこともありますので、また人事院の勧告と言いましても、この3月(公務員の期末勤務手当ては)国の勧告0.35ヶ月カットを長野県の状況を見まして0.7ヶ月とするなど、長野の人事委員会では引き下げをしています。そのような状況ではこのようなことも考慮に入れていかないと長野県の財政がどうなるのかということを再度お聞きします。(知事)
4年前田中県政の改革のすべてを「ガレキの山」と切り捨て、「ガレキを片付け、耕し、種をまいてやっと芽が出る時になった」とした村井知事。県議や経済商工団体から請われ、市町村長会長の大町市長、後の副知事ですが、選挙対策部長に、市長村長と一体となって知事選を勝ち抜かれたのですから、就任前より信頼関係が構築されているというメリットもあり、たくさんのことをしてきました。流れの決まっていた廃止する外郭団体やダムなしの浅川河川整備計画も、即くつがえし、県議会の反対でなかなか通らなかった産業廃棄物条例も「住民の同意」という5文字をはずし、暖めていた水と緑を守る「森林税」もすぐ制定されました。必死で地域で反対していた高校改革も、地域の県議や首長の申し入れという形で成功していき、その意味ではスムーズでした。
しかし、この流れを県民は「ノー」と出しました。県民に選ばれた阿部知事ですから、再度見直していただきたいものがあります。
3)外郭団体・組織の見直しについて
1つ、当時の委員会で廃止された道路公社とか土地開発公社等外郭団体の見直しをまず、復活されておりますのでまず、見直しをし、県民益に結びつかない団体・組織に即手をつけるべきだと思います。また、県の借金・借入金の見直し、金利等もチェックを行い、天下り職員との関係を清算し、支出を抑えることが大切だと思いますが、知事のご所見をお伺いします。
2つ、直接県民の利用する施設が使用料アップするなどで使いにくくなっているところもあります。指定管理者という制度もありますが、事業については、削減の為だけの見直しではないと思うのですが、いかがでしょうか。
3つ、それから村井県政時に、農業大学校・教育事務所・建設事務所・保健福祉事務所の再編等、指定管理者制度の導入等で県の組織再編を行ってきたが、統廃合した組織の中でも見直すものはないでしょうか。
4つ、また、県の企業局が行っています電気事業局について、民間電力会社へ12ダムを譲渡する方向で進んでいますが、水と電気、エネルギーという意味でも容易に民営化するのはいかがと考えますが。ご所見を伺います。
農業大学校を(2校を松代に統合し)松代に移し、小諸の広大な実習地はそのままになっておりますし、また、佐久合同庁舎では、4階から教育部門を小諸保健所に、そして、建設を南佐久に移動し、4階が倉庫代わりに空いております。
そして、衛生部と社会部との統合、これは大きなもの同士の統合ですし、一番県民に関わってくる所でございますが、その点の見直し。また、教育や福祉分野の施設が指定管理者になるのは、どのようなものか、というお考えもあります。再度お考えをお聞きしたいと思います。
続いて、
4)人事の刷新について、お尋ねします。
阿部カラーの県政には、まず人事を刷新し、多くの同士が集まって施策もスピドを増し、県民の期待に答えられるのではと思いますが、選挙に当たって責任者に「女性議員を増やすネットワークしなの」の会長さんがおられました。我々女性県議が全員加入していた団体であります。多くの女性が女性副知事また、女性の参画に期待をいたしておりますので、その点につきまして女性副知事の登用は、他にご発言もありましたが。その他に、男女共同参画推進による女性登用についてはどのようにお考えか。教育委員会、それから審議会を含め、部課長級職員を刷新するお気持ちはあるのかどうか。県職員の天下りは禁止すべきではないか。
そして順序が逆になりますが、
最後の7番の副知事としての抱負について、
新しく副知事になられました男性副知事。どのような心情を持って―県職員から転職されましたが―長野県民に直接責任を持つナンバー2、副知事という立場を引き受けられたのか。また、どのような政策に取り組みたいと思っているのか、お聞きしたいと思います。(知事)
49歳と59歳の知事・副知事ですので、是非大きなサポートだけではなく、一つの力として、「知事と共に」という形で頑張っていただけたらと思います。それから、(天下りの)報酬のことがございましたが、退職した人の1年間「300万円だから・・・」(安いの意)といいましたが、その300万円は、20代の仕事のない人たちにとっては2人分、女性だったら3人分、そして途中リストラの40代、50代の人だったら年間300万円というのは大変大きな額だと思います。是非お考えをいただきたいと思います。
続いて、
5)浅川ダム建設について
この9月議会が正念場の浅川ダム建設ストップの問題に移ります。一昨日夜も今朝も大きな発破のような音が聞こえます。「浅川ダム工事かな?」一刻一刻進むかと思うと、工事の人には罪はないのですが、胸が苦しくなります。知事はいかがですか。
1つ 昨年の長野市長選。かなりのムダと思ってしまう私はかなりピリピリしている私たち県会議員であります。県民世論調査では、浅川ダム建設について、見直す必要がある」と答えた割合が7割弱を占めています。県で決定、業者まで決まっても、その後の3月調査ではまだ6割強の人が、そして工事を着工してからも、県政の継続を勧める候補を望まず、どんどん工事が進んでいるにもかかわらず、「中止すべき」が60%を超え、「造るべき」の2.3倍もの数になっています。民意を大切にと訴えてきた知事としては、この民意はどのように捉えているのでしょうか。
2つ 知事は選挙中、県議会の民主・社民と異なる部分もあるかも知れませんが、昨年、国民の多くが共感した政権交代の象徴となった「コンクリートよりも人へ」を強調して選挙中まいりました。8月8日の当選から約2ヶ月、就任から1ヶ月が過ぎました。現場へも行き、反対・賛成両者の会の声も聞きましたが、建設を一旦中断しない限り、コストどころか抜き差しならなくなります。本当に白紙でご自分で判断されるというお考えがあるなら、まず一週間、いや一ヶ月、期限付きでもいいので一旦中止しませんか。いかがですか。
大丈夫ですよ、82,6%もの人が期待して支持しているんです。(知事)
費用が発生するといいましても、造ってしまってからでは、もう何百倍という例が全国にあるはずです。340億だったものが、3400億以上にもなっているとかどこを見てもわかるではないでしょうか。私も両方の会に出てみましたが、水害で苦しんでいると申しましてもその皆様が、今回造られる穴あきダムがそれが守られるダムではないと、はっきりわかっていないような様子でした。
そのところの認識の違い等をしっかりつかまなければいけないと思いますが、知事に再度お尋ねしますけれども、県民の思い、県政に対するアンケートと思いをどのように考えていらっしゃるのでしょうか。再度お願いいたします。(知事)
また、知事が代わりまして9月議会では4年前、村井知事は「ダムなしからダムありきまで」と発言されました。9月議会です。そして、8月までダムによらない河川整備計画を浅川にと検討していた同じ土木部長が、同じ口で9月になりますと「浅川の整備計画はダムなしでは考えられない」という発言をしたのです。その現場を見ていたので、長野県民の安心・安全を守る河川管理者の知事としての力の大きなことを、何者にも誰にもかなわないと思いました。
今回、この間の発言では村石議員の発言(質問)に対する建設部長の答弁は、まったく村井知事時代と同じでした。新知事がダムを続けるか止めるか決めると、県民の意見を聞いている段階なのに、「知事の判断を待っている・・・」という気遣いすらする答弁もなく、傍聴者からは、また阿部知事支援者から、また県OBからは「失礼ではないか」との抗議さえありました。浅川ダム建設の責任者は、建設部長ではなく知事です。県の職員は決定・指示を待っています。賛成・反対両者の意見を聞いた中で、そして今のご意見を聞いた中で、更に県民の思いをどのように進めてくのか、捉えているのか、最後お願いいたします。(知事)
「誰を信じればいいのか」、賛成派の会だとお聞きしましたが、反対派からは「私も誰を信じればいいのか」ということで、今回知事選をしたのだと思います。よくお考えいただきたいと思います。
県民の思い、県民の声を大事にするということで当選してきた知事ですから、その県民の数、声の大きさだけではありません。それをしっかりと見極めて安心・安全な管理をするのが知事の役目です。どうか、しっかりとご判断いただきたいと思います。一旦止めてからご判断いただきたいと思います。止めなければ継続している、続けていく、造るということにつながってしまいます。白紙に戻るような形で、しっかりと決めていただきたいと思います。その方が、気持ちも楽になり―一旦止めれば気―持ちも楽になり―正確な判断が出来るのではないかと思います。敢えて、お願い申し上げます。(知事)
最後に、
6)教育再生について
教育問題ですが、長野県教育の再生を訴えてきました。阿部知事の当選。「教育は100年の計」。そして昨日、宮本議員が「米俵100俵」で学校を建てた話を出されました。本当に教育については、思い入れが深い知事だと思います。まず、知事の教育に対する思い、そして、長野県の現状認識と課題について、それから、教育再生については色々な問題、お話が昨日出ましたけれども、再生会議、知事部局についても、もう少し詳しくお願いしたいと思います。私の中では、一般県民等も公募を加えて、そして100人位の、東信、南信、中信、北信、25人ずつ、いつも決った方たちによる懇話会ではなくて地域相談会、大勢の公募による人たちを加えながらの、「大教育再生会議」でも県民会議のようなものを制定して、そこの皆で話し合うことも大事ではないかと思っています。ご意見をお願いいたします。
さまざまな高校再編による多部制・単位制、分校化、統合学科、それから総合学科、中高一貫とか目白押しですが、すべてそういう改革は継続していくのでしょうか。それから、それに対する予算というものが必要ですが、あるのでしょうか。
また、30人規模学級について、これはかなり強引に田中知事時代に推し進めた施策で、全国より先駆けて行いましたが、その時からぜんぜん進んでおりません。中学校・高校にも拡大していったらどうかと思いますが、どうでしょうか。
現在の学校週5日制を見直し、土曜日登校、今年で10年目になります、完全週5日制。その前から20年かけてやってきたことですが、この20年間に引きこもり、不登校が非常に増えてきたと思います。そこについてはどのようにお考えになるのか。また、今行われています高校の分校化、中高一貫教育は、公教育として、どこに、誰に焦点を当てているのか見えない。これは、矢崎教育委員長に、そして前の質問は、阿部知事にお願いしたいと思います。(知事・教育委員長)
犀峡高校の分校化等は、後の文教委員会で話をしたいと思います。いろいろな意見がございますので。
知事部局で所管している私立の小学校・中学校、教育委員会で所管している公立の小中学校、高校を所管しています。最近、私立の小中学校が増えました。その中で、信州の子供たちをどのように育て、長野県の教育行政をどのように進めていくのか、教育再生をうたった知事にイニシアチブを持ったご意見をお聞きしたいと思います。(知事)
最初から完璧なものはありません。新しくなった知事には非常に期待の大きい県民の声があると思います。民意を大切にし、浅川ダム、そして、その他の結論、教育も大きくイニシアチブをとって、協働していくのではなく、先ほどのダムのように、建設部長が取るのではなく、知事が決めていく、すべての責任を取るということでありますから、子供たち、すべての子供たちの責任を取るのが知事の役目です。どうか、よろしくお願いいたします。終わります。
小林議員 9月定例会一般質問 平成22年10月4日
1.西大滝ダムの水利権更新について
まず、西大滝ダムの水利権更新について伺います。
西大滝ダムの水利権更新期限が本年末に迫っています。飯山盆地ではダムがつくられて以降、1945(昭和20)年及び59(昭和34)年に大水害が発生、1982(昭和57)、83(昭和58)年にも2年連続で大水害に見舞われ、このときの被害総額は153億円にも及びました。地域住民の水害の記憶を呼び起こし、「安きにありて危うきを思う」ための「まるごとまちごとハザードマップ」が、飯山市常盤地区に去る8月30日設置されています。
大水害に見舞われるたびに学識者も含め地域住民の間では、「西大滝ダムが水害の原因の一つでは」と論じられてきましたが、1982(昭和57)年7月の水利権更新では地元の意見を求めることなく県の判断のみにより水利権が更新された経緯があると聞いております。知事は今回の水利権更新にあたって、国からの意見聴取にどのような姿勢で臨まれるのでしょうか。
また、同施設は現行の河川管理施設等構造令を適用されない構造物であり、同ダムの設計洪水流量が千曲川の計画高水流量を大きく下回っていることから、流域住民はダムが水害の原因になるのではと不安を抱いています。知事は国からの意見聴取に備え、流域住民の意見を聴く機会を設ける意思がありますか。
西大滝ダムの管理者である東京電力は住民からの公開質問状に対し、同ダムは計画高水流量9000t/sを安全に流下させられる施設であることを水理模型実験で確認済みと回答しておりますが、実験の公開やデータの開示には応じていません。このことは水利権更新に対する住民の理解を妨げるとともに、住民参加を理念とする改正河川法の趣旨にも反すると思いますが知事のご見解を伺います。
またこの計画高水流量9000t/sの流下については、県も簡易計算で確認したと聞いておりますが、基礎データは東京電力から提供されたのでしょうか。それとも独自の観測データに基づいて計算されたのでしょうか。さらにはその検証過程と結果をきちんと住民に説明する意思はありますか。知事に伺います。
同施設のような現行法令を適用されない河川管理施設の水利権更新にあたっては、たとえ管理者によって適切な管理がなされていようとも、水利権更新時に現行法令に適合するよう改善を求めることは当然のことと考えます。村井前知事は、水環境改善検討協議会がまとめた提言、つまりは河川流量の確保と魚道の構造改善を踏まえ、関係市町村の意見を聞いて対応するとしか答えられませんでした。しかし、県民主権を標榜される知事ならば流域住民の目線に立ち、施設の改善を施設管理者に求めるべきと思いますが、知事のご所見を伺います。
2. 浅川ダムについて
次に浅川ダムについて伺います。
知事は去る9月15日と22日の2回、「浅川の治水対策についてご意見をお聞きする会」を開催、ダムに賛成・反対それぞれの立場の住民から直接意見を聞き、ダム本体工事現場等も視察され、ダム建設の是非について知事自らが判断される材料にするものと思われますが、知事として今回初めて関係住民から意見をお聞きになり、ダム建設に至った経緯の中で、県がこれまで関係住民に十分に説明責任を果たしてきたとお感じになられたか、以下の4点についてお聞きします。
1つ、2回の「ご意見をお聞きする会」では、これまで長きにわたり浅川の治水対策に関わってきた住民団体や流域住民の思いのたけを知事としてしっかり受け止められましたか。
2つ、ダムに反対の立場の意見をお聞きになり、地すべり地帯へのダム建設の安全性について、不安を訴える住民に十分な説明がなされているとお感じになられましたか。
3つ、ダムに賛成しておられる方々からは「ダムで水を止めてほしい」「農業用水を確保してほしい」との意見が出されましたが、穴あきダムの目的が十分に住民に理解されているとお感じになられましたか。
4つ、賛成・反対双方の共通意見は下流域で繰り返される内水氾濫への対応でした。しかし、県が浅川の治水対策で優先するのは内水氾濫に効果がない穴あきダム建設であり、住民が切望する内水対策は先送りにされています。このことについて流域住民に十分な説明がなされていると考えますか。
また、河川法第16条の2には、河川整備計画の策定にあたっては、計画の必要性や考え方が関係住民に十分に理解され、地域の意見を踏まえたものにするための手続きが定められています。知事は賛成・反対それぞれの意見に耳を傾けられ、浅川の河川整備計画が関係住民の意見を十分に検討した上での判断により策定されたものとの確信を得られましたか。
(再質問)
ダムに賛成する方々の「意見を聞く会」の締め括りにおいて、知事は「住民側に事実誤認があるようなので担当者から説明を」と2度も職員に促されましたが、どの点を知事は事実誤認とお感じになられたのか、具体的にお答えください。また、浅川治水について議論は尽くされていると知事はお考えですか。
(再々質問)
事実誤認の発端はどこにあるのでしょうか。浅川の河川整備計画が国の認可を受けた4ヶ月後の2007(平成19)年12月、長沼地区新幹線対策委員会名で赤沼地区の各戸に回覧された文書には、「当地は、過去に浅川による水害を受けた所であり、長野車両基地の建設地は遊水機能を持ち、水害防除の一助になっておりました所に、長野車両基地を建設する対応として、長野県が浅川ダム建設により、水害の防除と建設地が果たしてきた遊水機能も叶えられるとして説明した」と記されております。これは1993(平成5)年に県と地元区でダム建設の確認書を交わした際の県の説明を指しています。2001(平成13)年2月議会において、当時の土木部長が「ダムでは内水被害を防ぐことは困難」と答弁しておりますが、下流域住民の「ダムで水害がなくなる」という誤った認識は容易に覆らず今に至っています。
関係住民が誤った認識を持ち続けたまま、ダム建設を推し進めていいのでしょうか。吉村・田中・村井のどの知事も、かつて県が流域住民に行った誤った説明を訂正し、謝罪をしていません。知事が説明責任を果たすというのであれば、まずは下流域に赴き、ボタンの掛け違いの発端となった「ダムで水害がなくなる」という誤りをしっかりと正すべきではありませんか。そのうえで改めて本当にダムが必要か否か県民に投げかけるべきではありませんか。知事に伺います。
ダム建設を進めながら、浅川治水に理解を示す住民を増やしたいというのはとんでもない矛盾であり、河川法に反していませんか。知事にお尋ねしますが、工事を一旦中止し、まず知事が説明責任を果たされてからダムの是非について再検証すべきではありませんか。
(再質問)
「中断するとなると、いくつかの点で追加的な費用が発生する」と答弁されていますが、その費用はどの程度なのでしょうか。工事費全体と比べればわずかではないでしょうか。そのわずかな費用を惜しんで理解が得られないままに工事を推し進めることと、一旦中断し治水対策への理解が深まるよう再検証するのとではどちらが県民益にかなうとお考えですか。知事に伺います。
現在、副知事を先頭に庁内でダム建設について論点整理を始めたとのことですが、役所内での検討では推進という結論は目に見えています。浅川ダム地すべり等技術検討委員会、長野県治水・利水ダム等検討委員会で賛否が分かれた部分については、知事が直接当事者に意見を聞き、判断を下されるべきではありませんか。知事に伺います。
3.環境政策について
最後に環境政策について伺います。
猛暑となった今夏、誰もが温暖化の進行を身を持って体験させられたのですが、6月から8月までの平均気温は平年よりも1.64度の上昇だったと気象庁は発表しています。2050年までに温室効果ガスの排出を地球全体で50%削減したとしても平均気温の2度上昇は避けられず、環境の激変を食い止めるためにはそれこそ政治主導で低炭素社会の構築に取り組む必要があります。
それには「インフラの造り替え」が欠かせず、道路やダムと言った旧来型の公共投資から再生可能エネルギーや公共交通などへの投資の振り向けが欠かせないのですが、環境県を標榜する知事は公共投資のあり方をいかに転換し、低炭素社会の構築にどの程度の予算を割り当てたいとお考えですか。
また、量的規制による環境政策は本来国が担うべきと答弁されていますが、すでに総量規制導入の是非を問う時代ではなく、どのような総量規制を行うかの時代になっています。環境県を目指すのであれば、そのような取り組みを進めるべきと思いますがご所見をお聞かせください。
永井議員 9月議会一般質問 平成22年10月4日
1)知事の政治姿勢について伺います。
今9月定例会は、阿部知事にとって初めての県議との論戦です。
阿部県政の誕生から一ヶ月が経過し、県民が新聞報道などから見る疑問と私が感じている知事の政治姿勢について伺います。
公約の目玉だった「信州型事業仕分け」について、新聞によれば、知事選で推薦を得た会派の県議から「政策評価、事業仕分け、県会のチェックの整合性をどう取るのか」「仕分けに対する職員の理解が進んでいない」「まだ生煮えだ」といった指摘があり、9月補正予算計上を見送った。と言うことへの疑問です。
「事業仕分け」については、議会にたずさわるものであれば、時代の要請として遅かれ早かれ、わが県でもと思い、わが会派では、昨年10月静岡県の事業仕分けを見学してきました。よって、議論になるようなことにそもそもの違和感を持っておりますし、知事は、なぜ今議会へ関連予算を提案しなかったのか不思議でなりません。
次に、副知事二人制のうち女性登用については、いまだ持って選考中という疑問です。
当然公約に掲げるには、当選の暁には、この人にとの思いがあってのことでしょう。そうでなければ選挙を有利にするための票集めだったのかと疑わざるを得ない状況です。
男性の副知事についても、就任前から根回しをして奔走したと言われていることも、おかしなことです。
この二つは、いずれも知事の考えで議員への根回しなどしなくとも提案できるものです。事前説明や通知なら全会派へ等しくするべきことではないでしょうか。
先日の質問にもありました、県民の意見を十分聞く、意思疎通を十分図ると言う事業や事案とは違う性質のものです。
県民が阿部県政に期待していた「しがらみのない県政」「県民の目線に立った、県政改革」とはだいぶ違っているように思います。もっと積極・果敢に様々な問題にスピード感を持って行うべき、と考えます。
知事のご所見を伺います。
【第2質問】
議会での知事答弁は、誠意ある姿勢など評価も出来ますが一抹の不安も持っています。
知事が良しとする議案でも、最後に決めるのは議会です。知事は決定されたことを執行する義務はありますが、案は出せても決定権はありません。
知事が一人で孤独に悩んで決断するというものでもないし、知事の役割は、議会にどんな案を出し、どう考え方を説明できるか、だと思います。
従来は、それを議員への根回しでやってきましたが、県民はそんな議会を求めておりません。根回しより公開の場で議論をすることが、県民に県政へ目を向けてもらうことにもなるし、また、知事が言われる「県民主権を実効性あるものにする。透明性が高く、現場・県民の目線に立ち、未来志向で、賢く頼れる地方政府として再生する」その第一歩ともなります。
議会で説明し、議論を重ね、知事が正しいと思う判断に賛同してもらえるかが大事です。
議員の質問も県民の声を代表したものです。知事を始めとする執行部の答弁も一議員へのものではなく、議場の向こうにいるすべての県民に向かった答弁をするべきです。
知事自信、良かれと思うことには、かりに議会の反対が多い場合、佐久市の柳田市長がとった住民に直接「信」を問う「住民投票」という手法もあると考えるべきではないでしょうか
御所見を伺います。
【第3質問】
対立回避への気遣いや根回しより、議場で県民の前で公開の議論が何にもまして必要です。
私が尊敬する片山善博元鳥取県知事は、このたび総務大臣に就任しましたが、『知事は長いものに巻かれたら、惨めと言うか後ろめたいと言うか、人を騙せても自分に対して後ろめたいし、知事などやっている意味はないと思う。
何のためにそんな楽でもない商売を引受けているのかと言うと、やはりそれは「志」や「理念」、「理想」を追求できるから。
変な圧力によって自分を曲げなくてもいいという生き方が出来るから。それをあっちに気を遣い、こっちにペコペコするようだと、やっている意味はない。』と言われております。
阿部知事も「志」とプロフェッショナルの「技」をいっていますが、知事になったからには、まずは、八方美人の姿を捨て、多くの県民の方を向きながら公約を粛々と実行すべき、と考えますが、知事の覚悟の程はいかがでしょうか。
決意の程を伺います。
参考までに
「事業仕分け」は、地方の自律を目指すのインタビューで
「私が副市長だったとき横浜市で行った事業仕分けは、市議会の主導でした。・・・本来、個々の議員たちが自分たちに付託されていることは何なのか、住民が求めているのか、と言うことをしっかりと考えれば、自ら事業仕分け的な議論になるのではないでしょうか。」といっている。
2)児童虐待防止の活動強化について伺います。
8月22日の新聞に、『ゴミの山姉弟は寄り添って倒れていた』とショッキングな見出しで7月30日の「大阪2児置き去り」事件を報道していました。記事の内容は、「一部がミイラ化した全裸の幼児が寄り添うように倒れていた。二人の遺体は死後一ヶ月半ほど経過していたと見られる」「子どもセンターに最初の通報が入ったのは3月30日。「殆ど毎日子どもが泣いている。インターホンで長時間、『ママーママー』と叫んでいる。〔ここまで発言し、不覚にも檀上で涙してしまいました〕4月8日、5月18日にも通報があった。センターは、5回訪問しながら、誰が住んでいるのかさえ分からず調査をやめた。職員は、手紙を残したが連絡はなかった。」
私は、悲しくて涙せずには、読むことが出来ませんでした。
このような事件は、今日の格差社会の中では、都会だけでなくとも長野県でもいつ起きるか分からないようなことであります。
当然保護者が一番に責められるものでありますが、2000(平成12)年5月に施行された「児童虐待の防止等に関する法律」では、地方公共団体の責務や早期発見、通告、立ち入り調査、臨検・捜索、警察署長に対する援助要請など、児童の権利利益の擁護に資するとなっていますが、現実的には色々な事件が起きて、それに対応する児童福祉に従事する職員の質の問題などが指摘されています。
事件が発生するたびに、子供たちの命を助ける最後の砦、公僕である職員の感性や想像力の欠如によって、助けられた命も、救うことが出来ないような事態が起きています。
そこで伺いますが、
阿部知事は、今日色々な場で起きている児童虐待については、どのように認識をされていますか。また、知事は公約に「児童虐待の防止会議」を設置するとしていますが、具体的にその取り組みについてお聞かせ下さい。
次に、健康福祉部長に、
① 今年2月議会で答弁されました「虐待などの研修実施、職員の資質向上」については、どのように取り組まれておりますか。
② また、大阪の事件を長野県の担当部局の責任者として、どのように感じておられますか。この事件を踏まえた県の対応は取られたのでしょうか。
③ 児童虐待防止法の第9条の3、従事する職員の「臨検、捜索等」や第10条の「警察署長に対する援助要請等」については、どのように具体的に協議、研修をされているのか、お尋ねします。
最後に、県警本部長に伺います。
私は、新聞報道のあと須坂警察署を訪問し、署長にこのような事例に対しては、どのような対応をしているのか伺いましたところ「通報などがあった場合には、必ず署員が訪問して顔を見る。姿を確認する。ように徹底している」との、力強いお話しを伺うことができました。
日々、厳しい職務の中で県民益を求めて働いてくれている姿に感激しましたが、大阪の児童虐待については、どのように思われましたか、お聞かせ下さい。
また、警察への通報などに対する県警の方針や取り組み、具体的にはどのように対応し、どのように取られているのかお尋ねします。
親子問題だ家族問題だなど民事事件だからと、手をこまねいていたり、対応に気遣いをしたりしていることはないのかも合せお尋ねします。
最後に、阿部知事には、長野県では通報等があった問題にはしっかりと対処して、まかり間違っても、大阪のような悲しい事件は、絶対に出さないことの決意を伺って終わります。